【紙とペンでできる】稼ぎと楽しさを両立させる「キャリアポートフォリオ」の活用法

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社会人として過ごす時間を、どう充実させていくか。多くの方が、どこかで漠然とした不安を抱えながら、日々の仕事に向き合っているのではないでしょうか。

私たちは社会の中で働いていますから、時代の流れと無関係にキャリアを築くことはできません。同時に、自分は何を楽しいと感じ、何を大切にしたいのかという内側の声を無視しても、本質的に豊かな働き方にはたどり着けません。

「今の会社でこのまま深めていくのか」
「新たな環境へ舵を切る(転職する)のか」
「副業などで関わり方の幅を広げるのか」
「独立・起業という道を選ぶのか」

どのような仕事をし、どんな場所で、どれほどの糧を得て、どのように過ごしていきたいのか。

社会人としての時間を本質的に豊かにしていくために、一度立ち止まって3年、5年、10年といった中長期の視点で自分のキャリアを「よく観る」時間をつくってみませんか。

行き当たりばったりの歩みもひとつの選択ですが、「この先どう歩んでいけばいいのだろう」「漠然とした不安がある」と感じているなら、一度ご自身のキャリアを丁寧に観つめ直し、デザインしてみることをおすすめします。

今回は、外側の変化と内側の思いの両方を「よく観る」ための道具として、「キャリアポートフォリオ」というフレームワークをご紹介します。

内と外の眼差しで描く、中長期的なキャリアデザイン

キャリアを「自分自身」に取り戻す

キャリアデザインを考える上で、まず大切な大前提があります。それは、自分のキャリアの主導権を会社や社会任せにしないということです。

いまお勤めの方も、かつてご自身で意思決定をし、その場所を選び取ったはずです。どれほど会社が育成の機会や役職の道筋を用意してくれたとしても、それは提示されたひとつの選択肢に過ぎません。「キャリアの主体は、常に自分自身にある」という認識に立ち返ることがスタート地点となります。

特に現代は、時代の流れも、キャリアを自分でつくりやすい方向に動いています。多くの会社が副業を解禁し、以前よりも間違いなく、個人の選択肢が大きく広がっている時代です。外側の環境変化を捉えつつ、「自分は本当はどう在りたいのか」という内側の願いに耳を澄ませる絶好の機会と言えます。

だからこそ、「今の会社ならこうなりそうだ」という見通しは選択肢の一つとして置くにとどめ、3年後、5年後、10年後に、どんな仕事を、どんな場所で、いくら稼ぎながら、どんな内容でやっていたいのかを、一度ご自身に問いかけてみてください。

キャリアポートフォリオで、自分の現在地を観る

キャリアデザインを考えるうえで効果的なフレームワークが「キャリアポートフォリオ」です。仕組みはとてもシンプルです。

二軸四象限で考えます。横軸は「稼げる/稼げない」、縦軸は「やりたい/やりたくない」(やっていて楽しいか、楽しくないか、と言い換えても構いません)です。

白い紙に、この図を自分で書いてみてください。そして、今の自分の仕事や活動が、それぞれのどこに入るかを書き出してみます。

1. 右上領域:「やりたい」×「稼げる」

やっていて楽しく、しかも稼げる領域です。この時間が増えていけば、キャリアとしてはうまくいっていると考えてよいでしょう。

たとえば年収1,000万円を望んでいるとします。私の場合であれば、研修やコンサルティングの仕事がこれにあたります。自分にとって好きでやりがいがあり、それで収入も得られる。この状態にいられるなら、とてもシンプルです。ただ、最初からこの状態を実現できる人ばかりではありません。

2. 右下領域:「やりたくない」×「稼げる」

よくあるのが、稼げてはいるけれど、そこまでやりがいを感じられていない、という状態です。ここが右下の領域です。

楽しさは薄くても、これをいきなり手放してしまうと収入がなくなり、生活が不安定になります。ですから、ここはしっかり確保しておきます。そして本業の収入で生活が安定している間に、左上の領域にいろいろと挑戦してみるのです。

3. 左上領域:「やりたい」×「稼げない」

副業として始めてみる。副業にするのが難しければ、まず趣味の範囲で試してみる。いろいろ試してみてください。

実際にやってみると、お金を取ろうとすると想像以上に難しいと気づくこともあります。逆に、お小遣い稼ぎのつもりで始めた副業が、意外と面白いこともあります。趣味でやっていたことがお金になったものの、対価をもらうと趣味としての楽しさが消えてしまい、「これは報酬をもらってやりたいことではなかった」と気づくこともあるでしょう。

この左上領域での試行錯誤こそが、人生を本質的に豊かに育てていく大切な種となります。

例えば、左上の領域で小さく育てていた活動が、やがて月に数万円、年に数十万円という巡りを生み出すようになったとします。すると、「ここにもう少し自分の時間と情熱を注いでみたらどうなるだろう?」という新たな展望が見えてきます。

少しずつ時間とエネルギーの傾けていくことで、左上の「やりたいこと」が右上の「やりたい×稼げる」領域へとシフトしていく。本業とのバランスを調整したり、あるいはどこかのタイミングでそれを主軸に据え直したりと、選択の幅が大きく広がっていくのです。

参考:キャリアポートフォリオの実践動画
30代女性・個人事業主のTさんが、キャリアポートフォリオを使って現状を整理して、理想の状態を考えます。Tさんは、この動画の後、整理した内容を元に行動していき、左上から右上の領域の割合を増やし、活躍されています。

私自身が歩んできたキャリア

私自身の歩みを振り返ってみても、特に独立初期はこのポートフォリオのバランスを深く意識していました。

当時、私は「ロジカルシンキング研修」の講師として毎日のように登壇していました。実績もあり、受講者やクライアントからも高く評価していただき、経済的な基盤(右下領域)をしっかり支えてくれる有難いお仕事でした。一方で、経験を重ね慣れてしまった分、自分の中での新鮮な情熱や探求、挑戦という意味では、少し物足りなさを感じる部分もありました。

ですからその時期は、この仕事を生業として誠実に続けながら、左上の「やりたい × 稼げない」にも挑戦していました。それが就活塾です。学生の皆さんにキャリアをお伝えし、よい就職につなげるお手伝いをする仕事で、有料ではあったものの、注ぎ込む時間が半端ではなかったため、時給に換算すると泣きたくなるほどの金額でした。

それでも続けられたのは、右下の仕事でしっかり収入を確保していたからです。時給換算が雀の涙でも、「やりたいからやってみよう」と思えました。その中で、左上の活動が少しずつ右上に移っていき、やがて右下の仕事をそれほど続けなくても、右上だけで稼げるようになっていきました。

総括

問いから始めるキャリアデザイン

まずは一枚の紙を開き、いまのご自身の状況をそのまま静かに観つめてみてください。

  • 自分は今、どの領域にどれくらいの時間とエネルギーを注いでいるだろうか?
  • 右下でしっかり足元を支えられているからこそ、左上で試せることは何だろうか?
  • 3年後、自分はどんな割合でこの四象限を満たしていたいだろうか?

外側の社会システムや現実的な条件を丁寧に踏まえつつ、内なる情熱や価値観を無視せずにすりあわせていく。

そうやって「自分の内外をよく観る」ことから始まるキャリアデザインは、単なる職歴の更新にとどまらず、あなた自身の人生をより本質的で豊かなものへと導いてくれるはずです。

動画でも学べる!

キャリアデザインの考え方
キャリアポートフォリオの実践

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