お金と働き方を「よく観る」——年収を上げるとは、社会システムと自己意識を重ね合わせる実験である

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組織開発や研修の場でお会いするさまざまな立場・階層の方々から、最も本音混じりにご相談いただくテーマがあります。

それが、「どうすれば年収は上がるのか?」という問いです。

資本主義という社会システムの中で生きている以上、年収や経済的な豊かさは、私たちが直面せざるを得ない極めてリアルなテーマです。年収とは、資本主義という「社会の構造(外側)」と、自分がどう生きたいかという「個人の価値観(内側)」が交差する点に存在します。だからこそ、どちらか一方だけを眺めていても、本質的な答えにはたどり着けません。

私自身、20代の頃にひとつの節目としていた「年収1,000万円」を超え、現在は経営者や外資系企業で高い成果を出す方々、さらには年収1億円を超えるような方々に至るまで、多様な生き方・働き方を間近で観察する機会に恵まれてきました。

そうした自身の経験や周囲の豊富な事例を「観塾」のまなざしで分析・整理してみると、年収を上げていく人たちには確かな共通点があることが見えてきます。

それは、単なる「稼ぐためのテクニック」ではありません。「自分の内面(意識や欲求)」と「外側の構造(システムや人間関係)」をどのように観察し、扱っているかという、物ごとへのアプローチそのものです。

今回は、私自身の経験とこれまでに見てきたリアルな事例をもとに、年収が上がる人に共通する「3つの観点」について整理してお話しします。

年収というリアルな問いと「観塾」のまなざし

「自分の内側の望み」を精密に観ているか

研修などで毎年多くの若手社会人と対話しますが、「年収を増やしたい」という気持ちはあっても、そのイメージが極めて漠然としているケースが少なくありません。

「いくら欲しいですか?」と尋ねると、「多ければ多いほどいいです」という答えが返ってきます。正直なところ、この「何となく」の状態で、その後に年収が上がった人を、私の周りではあまり見ません。憧れはあっても、「この金額を目指す」というスイッチが入っていないのです。

反対に、いくらほしいのか、何のためにほしいのかを自分なりにはっきり持っている人は、日々それを考え、行動し、試行錯誤を重ねて実現していきます。

方法はさまざまです。社内での出世、転職、独立起業、副業との合算など、どれでも構いません。大切なのは、自分にとってどういう状態が望ましいのかを、しっかり観ておくことです。

数字は「自分の内面を映し出す鏡」

なぜ望みが曖昧だと現実が変わらないのか。それは、自分の内側にある「真の欲求」や「動機」に向き合えていないからです。

  • 何歳の時点で、いくらの収入を得たいのか?
  • なぜ、その金額が必要なのか?(何に使い、どんな価値観を満たしたいのか?)

これを「具体的な数字」として仮置きしてみる必要があります。

私の場合、新卒で外資系コンサルティング会社に入り、社員でも頑張れば1,000万円に届くことが見えていたので、「1,000万円をクリアしたい」と思っていました。理由を正直に言えば、単なる数字でした。1,000万円あればそこそこ裕福で、胸を張れそうだ、というくらいのものです。それでも20代の頃は、これが仕事に意欲的に取り組む原動力になりました。

もっと具体的でも構いません。「いつまでにこの住宅を買いたい。頭金はいくら。そのために毎年いくら貯めるから、年収はこれくらい必要」というように、逆算して考える方法もあります。

自分の目標金額と、その理由が自分の中にはっきりある人で、それを叶えられていない人は、私はほとんど見たことがありません。

自分が許容している「上限」を観察する

「そんなに収入なんて上がらないですよ」と考えていると、実際に上げるのは難しくなります。今の会社では1,000万円に届かない環境にいても、「達成したい」と思っている人は、転職や独立、副業などで実現していきます。本当に実現したいなら、方法はいくらでもあるのです。

もう一つ、目標設定で感じることがあります。人は、自分が望んでいるラインより上には、ほとんど行かないということです。

私の周りには、年収1億円を超え、資産も大きい方が何人かいます。その方々は、私が「1,000万円はいきたい」と思っていたのと同じ感覚で、「1億円は最低限超えたい」と思っていた人たちでした。一方、私は「1億円は大変そうだ」「そんなにあってもしょうがないかな」といろいろ考えてしまう。そういう人間は、やはり1億円にはなりません。

ですから、まず一度、数字を置いてみてください。2,000万円と置いてみて「いいな、できそうだ」と思えたら、そこまで行けます。ピンとこない、無理そうだと感じたら、1,000万円と置き直してみる。「頑張ればいけそうだし、いい生活ができそうだ」と思えるなら、それは達成できます。

  • 「2,000万円」と設定したとき、自分の内側にどんな違和感や抵抗が生まれるか?
  • 「1,000万円」なら、リアルな手応えやワクワク感を持てるか?

達成した後は、満足する人もいれば、もう一桁上を目指す人もいます。それは人によりますし、そのときに考えればよいことです。まずは一度、数字を置いてみてください。自分の内側の感情や認識のブロックを「よく観る」ことから、すべては始まります。

観てみること:漠然と「あがらないかな」と思うのではなく、具体的な数字を置き、その年収の自分をイメージして、何を感じるかを確かめてみる。

「時間の扱い方」と「社会システムへの適応」を観ているか

2つ目は、自分のリソースである「時間」と「エネルギー」をどのように社会システムへ投資しているか、という視点です。年収を上げるアプローチには、大きく分けて2つの型があります。

内発的動機で「時間を忘れる」型(自己探求と仕事の一致)

自分が心から惹かれること、時間を忘れて没頭してしまう領域を仕事にするパターンです。

「休日でもつい専門書を読んでしまう」「頼まれなくても研究してしまう」というような領域を持つ人は、自然と投入時間が圧倒的になり、仕事のクオリティや市場価値が高まります。結果として、組織での評価や独立後の単価上昇へとつながっていきます。

自分の興味関心(心理学、歴史、特定の技術など)と、社会のニーズが重なるポイントを見つけ出せるかどうかが鍵となります。

「時間効率・構造的価値」を最適化する型(社会システムの理解)

一方で、「好きなこと」が必ずしもそのまま高収入に結びつくとは限りません。ここで重要になるのが、外側の社会システムにおける「時給・構造(レバレッジ)」の観察です。

自分の1時間の価値が、社会的にいくらで評価される構造にいるのか。 構造的に年収水準が高い業界(金融、コンサルティング、インセンティブ営業など)に身を置く、あるいは市場価値の高いスキルを習得して「自分をその構造に適応させる」という発想です。

  • 本業で時間効率(構造的な稼ぎやすさ)を追求し、副業で真の探求(好きなこと)を行う

といったハイブリッドな組み立て方も、現代の社会システムにおいては非常に有効な戦略です。

観てみること:いま自分は何に夢中になっているかを観て、仕事につなげられないか考えてみる。難しければ、時間効率のよい仕事ができるように、自分を適応させる方法を学んでみる。本業は時間効率を重視し、副業で好きなことを仕事にするという、掛け合わせの道もあります。

「置かれている環境・人間関係の場」を観ているか

最後のポイントは、「誰と共に時間を過ごしているか」という環境の観察と選択です。

抽象的な思考や戦略も大切ですが、最終的に人の意識や行動パターンを最も強く形作るのは、周囲の「人間関係という場」の空気感です。

自分が達成したい年収や生き方をすでに実現している人たちと、意図的に時間を過ごす機会を増やしてみてください。

  • 彼らは日常的にどのような「情報」にアクセスしているのか?
  • どんな「前提(当たり前)」を持って判断し、動いているのか?

同じ空間で時間を共にすることで、言葉にされない思考の癖や判断軸が自分の中にインストールされていきます。

(※もちろん、これはこれまでの大切な友人関係を断つという意味ではありません。自分の目指す世界を生きている人との接点を「意識的に加える」ということです)

観てみること:実現したい年収をすでに実現している人たちとの時間を、意図的に増やしてみる。

総括

自分の内と外を「観る」ことで、豊かさを手繰り寄せる

年収がどうやったら上がるのかという問いについて、私なりに3つのポイントをお伝えしました。

  1. いくらほしいのか、何のためなのかを、具体的な数字で置いてみる(内側を観る)
  2. 時間を忘れて取り組めるか、時間効率がいいかを考える(自分と仕事の関係を観る)
  3. 実現したい年収の人たちと過ごす時間を増やす(外側から学ぶ)

年収は、社会のしくみの中で決まる面があります。同時に、自分が何を望んでいるかによっても変わります。外側と内側の両方をよく観ることが、本質的に豊かに生きる一歩になると思います。

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年収を上げるための3つのポイント

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