自分に接するとき、人に接するとき、母性から?父性から?

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今回の探究テーマ

前回の記事で思い込みを取り扱うABC理論を紹介しましたが、いきなりABC理論などで、分析的に、父性的なアプローチで感情を取り扱うのではなく、まずは母性的なアプローチで自分の気持ちをそのままうけとめてあげることが重要です。今回はなぜ父性的なアプローチだけではなく、母性的なアプローチも大事なのかを探究します。

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母性的アプローチと父性的アプローチ

母性父性という、所謂象徴としての「母」と「父」なんですけれど、人間の側面とか特性を表す上で、ひとつの切り口として「母性」と「父性」というものがあります。これは身体的な性別とは別の話で、男性の中にも母性はありますし、女性の中にも父性はあります。

「母性」と言っているのは、母親的な接し方や現れ方なので、優しく受けとめる、包み込むといったです。そういったのがここでいう母性です。「父性」といっているのは理知的に厳しく、(ただ受けとめるのではなく)しっかりと分析をするといったものです。ここでは、そういったものが父性だと捉えていただけたらと思います。

少し前の記事で詳しくご紹介していますが、人には誰しも「思い込み」があり、この思い込みが、結構ストレスの原因になっている場合があります。

「絶対にこうあるべき」「私はこうしなきゃいけない」「人間はこうしなきゃいけない」こういった捉え方が強すぎると、なかなかそれによって人生が上手くいかなかったりとか、ストレスが多い状態になっていたりすることが、あったりするのですけれど、これを解きほぐしていくときに、、1つは理屈としてはABC理論で、自分の考え方を見ていきます。

自分のこの思い込みや捉え方があるのだな、そしてそれ以外の捉え方もあるのだなという分析をしていくというのはあるのですが、これはどちらかというと父性的なアプローチでして、私は原則としては、自分に対して接するときに、人に対して接するときもそうですが、まず母性から接するのが大事だと考えています。

母性的なアプローチから接するのが大事

順番としてまず母性、次に父性です。このまず母性で、自分に接するとか人に接するというのが、苦手な方が多いのではないかと思います。

ジェンダーでいうと、男性の方が苦手な方が多いと思います。母性も父性も男女の区別なく、みなさん両方お持ちですし、男性でも非常に母性的なアプローチが上手な方ももちろんいらっしゃるのですけれど、まぁ傾向でいうと、男性の方が父性よりになりがちかなと思います。とはいえ女性でも、ちゃんと自分に対しても母性も発揮するみたいなのは、苦手な方も多くいらっしゃるので、是非意識してみてもらえたら嬉しいです。

父性的なアプローチの例

例えば、会社で嫌なことがあった、ストレスを感じることがあった。そういうことがあったときに、自分をちゃんと自己分析して、自己改善して、よい未来をつくっていこうと考えて、「なんでこう捉えちゃうんだろう」「どう捉えたらいいんだろう」「自分の何を直せばいいんだろう」という風に、分析的に自分に対してアプローチしたり、場合によっては、それで自分を責めてしまうといったことも、あったりすると思います。これは非常に父性的なアプローチです。

これはこれで必要ですが、それだけやっていると段々心が苦しくなって、比喩的ですが心が死んでいくみたいなことが起こってしまったりします。

母性的なアプローチの例

何かストレスになることがあったときに、まずちゃんと自分に対して、母性的に接します。何か会社で例えば嫌なことがあった。「嫌なことがあったね」「自分って嫌な気持ちになったなぁ」「嫌なことがあったよね」「悲しかったね」「傷ついたよね」「腹が立ったよね」「そうだよね」と、自分で自分を受けとめてあげるというのが、自分に対して母性的アプローチです。

この母性的なアプローチをやって、十分に「本当にそうだな」「嫌だったな」というのを感じ切って、感じ切ると人間は不思議なもので、ちょっと気が楽になるといいますかね。まぁでも嫌だったな、「だった」と過去形になってきたな、まだ嫌な気持ちが自分の中にすごいあるではなくて、確かに嫌だったなと、ちょっと過去にできる感じがあります。

実際にこのような体験をしたことも多いのではないでしょうか。聞き上手な人に、自分の愚痴みたいなのを聞いてもらって、例えば、職場で嫌なことがあって、「昨日上司に酷いことを言われてさ」みたいな話をして、聞き上手な相手に聞いてもらっていると、「でもなんか今日聞いてもらってたら、ちょっと気持ちが楽になったよ」みたいなことは、あると思うのですね。これをもちろん、人に聞いてもらってもいいのですが、セルフで自分でもやってあげます。

ちなみに、逆で、他者の話を聞く立場のときにですね、例えば友だちと呑みに行って、友だちが会社のことで悩んでいるケースだったときも、いきなり分析的に父性的にアプローチするのではなくて、何が原因でどうしたら解決できるかなではなくて、まずは、「そうか、それはつらかったね」とか、「それは嫌だったね」というような母性的な姿勢で話を聞く時間というのをちゃんととるというのは、すごく大事だと思っています。

自分に接するときも、人に接するときも、母性的なアプローチの時間をちゃんととって、「そうだなぁ、これはつらかったなぁ」「これ悲しかったな」ということを感じ切ってください。感じ切るというのは、また結構難しいのですが、いったん自分としては十分に感じたな、ということを感じて、その後に、「じゃあどうしたらよかったんだっけ?」「どうすればこれからいいんだっけ?」という分析的に、父性的なアプローチをしていきます。

父性的なアプローチに偏ると何が起こるのか

例えば、何か上司との関係で上手くいかずに、ストレスがありました。「それはストレスを感じたよね」「じゃあ次に全く同じような場面がまた出てきたとしたら、そのときはどうしたらいいんだっけ」とか、「今回どうしてこういうことが起こっちゃったんだっけ」「自分の方にはどんな原因があるのだろうか」「とはいえコントロールできない上司の方の特性もありそうだから、それはどう捉えたらいいのだろうか」これをちょっと冷静に落ち着いて分析してみます。

この「どうしたらいいんだっけ?」はもう非常に父性の世界です。で、このように母性的なアプローチは全くせずに、父性的なアプローチばかりしている人というのは結構います。傾向としては男性は多いです。

実際、父性的なアプローチしていって、自己改善をしていって、自分のここが悪かったんだ、じゃあこういう風に次は変えようといったことをしていくのは、それはそれで一定程度、成果が出るというか効果が出ますし、人生が上手くいきます。

ちゃんと父性的なアプローチをしていくことによって、実際に外的現実として、例えば、会社の中で評価が上がるとか、事業の業績が伸びていくといったことは全然起こりえます。

ただ父性的なアプローチばかり続けていると、自分が嫌だったんだなぁとか、辛かったんだなぁといったのを置いてけぼりにして、ただただ強い自分を外側に向かってつくっていきます。常に、「あの人すごい、強い、たくましい」というというのが外側に出てきて、その期待に応えようとして、より強くなっていくといったことをしていくのですが、自分の内側の「これ辛いな」とか「嫌だな」といったのを置いてけぼりにしていくことになるので、どこかでしっぺ返しがくるみたいなことが結構あります。

私は仕事上、経営者さんや社長さんとかとお付き合いすることも多いのですが、社長さんは一般的にいって、成功して強い存在であると少なくとも周囲から思われているケースが多いと思います。

部下からも慕われてとか、怖がられて畏怖されてとか、そういう存在だということはあると思うのですが、その立派になりすぎてしまって、立派じゃなきゃいけないの、辛くてしんどいみたいになっている社長さんも実は結構いらっしゃいます。それはそうですよね。「これ嫌だな」「辛いな」といったのを全部抑え込んで、ある種無視して、とにかく立派になるという方で頑張ってきているわけですから。

そうするとですね、何が起こるとかというと、多くの場合、周りの人にも立派であることを求めだして、上手くいかなくなっていくといったことがあります。

自分は弱い心を置き去りにして、ちゃんと立派にやってきた。あなたたちもちゃんと立派に振る舞ってください。それは例えば、ご家族にも向くかもしれませんし、社内の部下たちにも向くかもしれませんし、その圧が強すぎて人が離れていくということが生じたりとかするかもしれません。

何が言いたかったかというと、あんまり自分の、所謂どちらかというとネガティブな気持ちですね、男性にとってはもしかすると女々しい気持ちかもしれませんけれど、「辛かったな」「悲しかったな」「傷ついたな」というようなものを無視して取り扱わずに、強い立派な正しい分析の対処だけをしていると、どこかで苦しくなってくるタイミングがあったりします。

母性も大事にするは、父性は大事にしないでくださいということでは決してないので、ちゃんと母性を大事にした上で、父性的なアプローチもする。ここの両方をやっていくことで、本当に豊かに上手くいくようになっていくというのがありますので、是非ちょっとこの「母性」と「父性」というところも意識してみていただきたいと思います。

母性的なアプローチ父性的なアプローチがあったときに

  • どちらか片方だけが大事というものではなく、大事なのは順番で、まず母性的なアプローチで接することがポイント
  • 父性的なアプローチで自己改善していくことは、多くの場合効果があり、成果が得られるが、そればかりに偏りすぎるとどこかで無理がくることも多い
  • 自分に接するときも人に接するときも、まずは母性的にちゃんと自分の気持ちをそのまま感じ切って、しっかり受けとめた上で、父性的なアプローチをしていく
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