【情報を読み 図解して整理し 要約する】論理的コミュニケーション力

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今回の探究テーマ

複雑な情報を読み、内容を理解し、論理的に整理して伝える力は、さまざまな仕事において役に立つ重要な能力です。今回は、ライティング業務が苦手だというTさん(個人事業主 30代 女性)と一緒に、情報を「図解する」「要約する」という問題に取り組みながら、思考力を鍛えるコツをご紹介していきます。

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事前課題

事前課題として、Tさんには約1600字のニュース記事を読み、次の2つに挑戦してもらいました。

①図解を用いて、分かりやすく1枚の資料にまとめる
②200字以内に要約する

課題記事 ※教材として使用したニュース記事は以下のような内容です

2008.7.11 朝日新聞デジタル

新生銀行は11日、「レイク」の名前で日本で消費者金融事業を展開する米ゼネラル・エレクトリック(GE)の子会社を、総額5800億円で買収することで合意したと発表した。個人向け事業の強化を狙うが、新生銀の財務悪化の可能性を指摘する声も市場にはある。

新生銀が買収するのはGE傘下のGEコンシューマー・ファイナンス(GECF)。消費者金融中堅シンキを抱える新生銀の貸付金残高の合計は、買収によってプロミスやアコムなど業界大手4社にほぼ並ぶ。

新生銀は当初、消費者金融事業だけを買収する計画だったが、GEとの交渉の過程で、住宅ローンやクレジットカードなど個人事業を丸ごと引き継ぐことになり、買収金額がふくらんだ。買収資金は預金などを充てる予定。

利息制限法を超える灰色金利に対して将来発生する可能性がある利息返還請求額については、最大2060億円までを新生銀が負担し、それ以上はGEが負うことにした。・・・

論理的に整理することはできるが時間がかかる

ネットに出ていた新聞記事を読んで、要約してみてくださいということをTさんに取り組んでもらったんですけど、まずこの2つの課題をやるのにどのくらい時間がかかりましたか。

結構かかったと思いますね。うーん、2~3時間はかかっていると思います。

時間がかかるのは、1つは単純に、単語を知っているかどうかという要素があります。英語が得意ではない人が英語の文章を読もうと思ったら知らない単語があったら辞書を引きながら読まないといけないように、専門外で単語を知らないみたいなことだと当然時間がかかるわけです。今回は金融や経済の記事でしたが、単語がわからないなみたいなのはありましたか。

そこはなかったです。読むのは読めて、まとめるが、こねこね こねこねして、時間かかった感じでした。

課題としては、①図解せよ ②要約せよ だったんですけど、その2~3時間の中でどれがどれくらいかかりましたか。感覚で全然大丈夫です。

感覚値は、先にまとめをする、200字要約から進めて、そっちは1時間半くらいかかりました。あ、今回は何回かぶつ切りでやったんですよ。もうわからない、無理、今日は終わり、みたいな感じでやってて、たぶんそれくらい、あわせたらなっています。最後に図解をやって、うーんでも、図解を2時間くらいこねこねしたと思います。なのでそんな大きくは変わらないけどそれくらいです。

私、まず国語得意な人なんです。

羨ましい~。

当然ビジネス用語で知らないものはない前提なんですけど、あの記事を渡されて、図解せよ 要約せよと言われたら、図解に10分~15分、要約が10分くらいでできます。

なんで!?なんで!?

これはスキルなので。スキルを磨いたときに、1つの目安としてこのくらいの時間でできるというのは参考になればと思います。

複雑な情報を整理するとき考える順番は

Tさんの話を聞いていて、まず1つ思ったのが、これは頭の中の順番なんですけど、私の場合は確実に「図解」が先です。これは仮に図解せよというお題がなくても、論理的に考えるときの基本として、まず頭の中でいったん図として構造を整理していることが多いです。

ちなみに私からすると、今回の課題のネット記事は、結構わかりづらい文章で、プロの記者が書いているんだとしたら、どうなんだろうと思うようなレベルの記事なんです。ちょっとわかりにくい。

それをわかりやすく構造化して、図解化するとどうなんだろうがまず頭にあって、それが整理できてしまえば要点がわかるので、あとは文字に最低限起こす。200字に要約するというのをパパッとやればいいみたいな感覚でやります。

考える順番としては

  1. 図解化する(=構造を論理的に整理する)
  2. 図解をもとに要約文をつくる

今の話を聞いて、なんか思ったことありますか。

たぶんあれをこねこねして何回も読んでいる中で、尚更絡まってきたのが結果で、大きく分けて3つ絡まっていて、1つは、結局何が言いたかったのかが私にはわからなかった。それは読解の力なんですけど、なのでまとめられなかったが1つ。2つは、読者をどこに据えているのかがわからなくて混乱した。

 

3つ目は、私のあの文を読んだ理解としては、視点が4~5方向から書いてあって、それは、なるべく公平性を保つみたいな感じで、別に新聞だからいいと思うんですけど、記者さんからの視点と、新生銀行の想いとか視点と、買収された側、GEさん様とかかなの側の視点と、金融業界の視点と投資家の視点ととが並んでて、それをどうまとめるの?誰をターゲットにしたら絞れるの?みたいなのが大混乱だったので、それを、あれを図解まず10分でするって、どういう、どうしてという疑問がいっぱい浮かびました。

Tさんの「図解を用いて、分かりやすく1枚の資料にまとめる」の課題の回答はこちら

図解化(構造化)するためのヒント

これは研修で使っていた教材なので、解答例を用意しているんですけど、一旦先に見せます。

その整理の方法全然考えなかったんで、ちょっと新しいものみたくらい、え?って。今理解中みたいな感じです。

ちょっと雑な質問になりますが、これパッと見て、わかりやすいですか、わかりにくいですか。

あの文を読んでたらすごいわかるなぁって思いましたが、読んでいないときの私がみて、パッとわかるかはちょっとわからないです。

起承転結など言い方はあるわけですけど、話を整理するときの基本的なパターンって、1つは時間軸で整理をするなんですよね。「過去どうだった」「今 何が起きた」「その後何が起きた、未来どうなりそうか」というように、過去・現在・未来みたいな整理の仕方が、私の中にまずフレームとしてあります。

どのフレームで整理すると今回の話はわかりやすいかなでいったときに、1つこの時系列の整理はわかりやすいだろうなと、このフレームが出てくる。

Tさんの回答は、ポイントが並列で並んでいるんだけど、構造にはなっていない。構造になっているというのは、過去・現在・未来という構造なんだけど、ポイントが並列で並んでいたら、そのポイント同士がどういう関係性にあるのか何も明示されていない。

過去・現在・未来だと、過去がある種原因で現在になり、現在が原因で未来になるという構造、矢印が引けるというのがまず1つあって、できるだけ構造化した方がわかりやすし、人間の脳みそとして理解しやすいです。

そして、Tさんが先ほど言っていた誰の視点かという話もあります。もし置くとしたら、「背景」 「事象」 「市場の反応」と横軸があるわけですけど、新生銀行にとっての、株式市場や投資家にとっての、GEにとってのというのを縦軸においてもいいわけです。そうすると3×3の9マスになります。

3×3の9マスで整理しようとしたときに、この記事の中に書いてあるところもあれば、空欄になって何も記述がないものもあるということが起こるんですけど、別にそれは空欄があってもそれでよくて、9マスで整理しますということがいったん自分の中でできればOKです。

9マスで整理しようと決めたら、9マスを埋めるべくもう1回記事を読み直して、「これは左上の過去の新生銀行にとっての話だ」「ここの記述は投資家にとっての記述の話だ」と区分けしていけばいいという風になるわけです。一旦それで図解ができます。

Tさんのライティング業務も交えながら考える

これは、Tさんの仕事の話を聞いてて思うんですけど、仕事でインタビューするじゃないですか。

※Tさんは現在フリーランスでインタビュー記事の作成などの仕事もしています

人の話なんて取っ散らかってるんです。誰かにインタビューしたら、過去にも飛ぶし、未来にも飛ぶし、理屈にも飛ぶし、気持ちにも飛ぶし、自分の話じゃなくて一緒にやった仕事の誰かさんの話にもなるし、自分の話にもなるしみたいに飛ぶわけなんですけど、それもいったんこの一覧表でどういう分布になっているか整理できたらいいと思います。そうすると、この人が話していた全体像はこうなんだなとか、ここは話されなかったんだながわかります。

Tさんのやっている仕事で、インタビューをして記事にして 誰かに見てもらうだとすると、見てもらう誰かにとって1番メインの軸はどこなのかを考えるということになります。

戻って、新生銀行の記事でいくと、これもパターンはいくつもあるけど、経済紙・経済新聞に載っている記事なので、これは1番は投資家目線です。結局新生銀行の社員がどう見るかとか、GEの社員がどう見るかという話ではなくて、この記事を読んだ投資家が、こういうアクションを新生銀行がとったんだけど微妙な反応だったんだなみたいなことがわかることが大事です。

そうすると、今回の場合は、やったファクト(事実)と市場の反応というのが骨子になるはずで、新生銀行として思惑が外れていまいち株価上がらなかったという話はちょっと二の次で、投資家目線で言うんだったらここがメインの話になるなみたいなのが抽出できます。9マスのうち、この投資家の反応みたいなところが、1つ軸になるかなみたいに整理ができます。

要約 解答例

新生銀行は11日5800億円でGEからレイクを買収した。貸付金残高はプロミスなど大手4社と並ぶ。他行に比べ強みが見いだせない中、リテール事業を立て直すことが狙いだ。しかし、株価は前日比3%下落し、格付けも「下げ方向で検討」とされた。背景として、消費者金融事業に対する総量規制導入などの規制強化がある。貸倒損失が増え、収益が圧迫される可能性もある。

ここまで聞いてみてどうですか。

違和感なしです。

そしたら今後取っ散らかった話をパパッと要約できそうですか。

ああ…それはまた別の話で、でもいったん自分の一型として、時系列とあわせた、登場人物のそれぞれの想いとか話みたいなのをまとめる表でまとめるは、たぶんできる、できるし、苦しいとは思わないと思います。でもじゃあこれを文章に起こすとなるとあぁ……って思いました。

この続きはまた次回!

情報を論理的にわかりやすく整理するために

  • 情報を論理的にわかりやすく整理するためには頭の中で情報が構造化されていることが必須!
  • どのような要素があるのか、それぞれの要素はどのような関係なのかを整理できるとGood
  • 基本の型として
  • 過去・現在・未来(背景・現状・仮定)の時間軸によるフレームでまず整理してみる!
    ⇒ニュース記事や情報を自分なりに図解して練習してみることも大切
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