キャリアデザインの考え方〈キャリアポートフォリオを使ってキャリアを描く〉

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今回の探究テーマ

自分にとって、理想のキャリアの状態を考える際に効果的なフレームワークが「キャリアポートフォリオ」です。「稼げる/稼げない」軸と「やりたい/やりたくない」軸の二軸四象限で整理することによって、「必要なだけ稼ぐ」と「やっていて楽しいことをする」をバランスよく考えることができます。非常にシンプルで簡単なワークなので、「ちょっとキャリアを見直してみようかな」という方にもおすすめです。

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何故 中長期的なキャリアデザインを考えることが大事なのか

社会人として過ごす時間をいかに充実したものにしていくかを考えるときに、3年、5年…10年かけて、どんなキャリアにしていきたいかを、1度時間をとって、書き出したりしてみることは非常に重要です。

今いる会社で5年、10年働いていこうか、それとも転職をするか、もしくは副業を足して幅をとるか、ないしは 独立起業していくか…みたいなことも含めて、少し中長期的に自分はどんなキャリアをつくっていくか。どんな仕事をして、どんな場所で働いて、いくらぐらい稼いで、どんな仕事内容でやっていくのか。

このようなところについて考えていくのがキャリアデザインですけれども、これを全く考えずに、とにかく行き当たりばったりで自分はいいんですという方は、それはそれでもちろんいいと思います。

ただ、もしかしたら多くの方が、「やっぱりちょっと先も考えなきゃな」「少し漠然とした不安もあるな」というような気持ちを抱えていたりするかなと思うんですけれど、そういう方は、1度中長期的なキャリアデザインを自分なりに考えてみることがおすすめです。

今回は、効果的なキャリアデザインはどういう風につくっていくのか、考えていけばいいのかというところについて、詳しくご紹介できればと思います。

キャリアデザインを考える上で大前提として大事なこと

まず、このキャリアというものについて、自分自身のキャリアですので、会社任せにしないというのは大前提だなと思います。

求職中や学生の方以外は、いま入社して働いている会社があると思うんですけれども、これもどこの会社にしようかなというのは、ご自身で探して、選んで決めた会社だと思います。あくまでキャリアの主体というのは自分自身にありますので、会社がどうこうしてくれるわけではないという意識を忘れないようにしてください。

もちろん会社の方で提供できるものもあると思います。

「何年経ったらこのぐらいの役職で」「こんな仕事をしてもらって」みたいなおおよそあるかもしれませんけれども、それはあくまで選択肢の一つでしかないので、自分として本当にこの会社で頑張り続けるのか、転職するのか、副業を加えてみるのか、さまざまな可能性に開いた状態で1度じっくり考えてみてください。

特に今は、時代背景としても、このキャリアをしっかり考えやすくなってきているとも思います。多くの会社が副業禁止を解禁してきていて、以前よりも間違いなくキャリアを自分なりにつくりやすくなってきてます。

中長期的なキャリアデザインを考える際は、「今の会社だとこんな感じかな…」はあくまで選択肢の一つとして置くにとどめ、本当に自分は、3年、5年…10年経ったときに、どんな仕事をして、どんな場所で働いて、いくらぐらい稼いで、どんな仕事内容でやっていきたいのかを1度考えてみる

キャリアポートフォリオを使ってキャリアデザインを考える

今回は、キャリアデザインを考える上で非常に効果的なフレームワーク「キャリアポートフォリオ」を解説していきます。今から是非キャリアデザインを考えようと思っている方は、是非このフレームワークを活用して検討してみてください。

キャリアポートフォリオは非常にシンプルです。二軸四象限で考えていただき、ひとつの軸が「稼げる/稼げない」という軸です。これを横軸におきます。もうひとつの軸は「やりたい/やりたくない」です。「やっていて楽しい」か、「やっていて楽しくないか」軸と言い換えても構いません。これを縦軸におきます。

白い紙に自分でキャリアポートフォリオのフレームワークをつくり、自分だったら各エリアにはどのようなものが入るか、今の状況を書き出してみる

右上:やっていて楽しくて稼げる領域

右上は、「やりたい」×「稼げる」の領域なので、やっていて楽しいし稼げるという仕事になります。この時間が増えたら、一般的に言えば、キャリアとしては上手くいっているという風に考えていいと思います。

例えば、自分は年収1,000万円がほしいとします。そうしたときに、何でもいいんですけれども、私であれば研修やコンサルティングのお仕事をさせていただいてますけれども、その仕事は自分に取っ手好きでやりがいがあって楽しい。それで1,000万円を稼げる。

もしこの状態にいれているとしたら、非常にシンプルです。楽しいし稼げるという状態になります。

ただいきなりこの状態が実現できるのかとか、毎回誰でもそう上手くいくのかというと、そうはならないケースも多々あります。

右下:やっていて楽しくはないけど稼げる領域

そうだったときに結構あるのが、例えば今の仕事は、稼げているけれども、そこまでやりがいを感じられていないみたいなケースです。これが「やりたくない」×「稼げる」の領域、キャリアポートフォリオでいうと、右下の状態です。

稼げているけれどもそんなに楽しさはない状態ですが、これをいきなり無くしてしまうと稼ぎがなくなってしまうので、生活が不安定になってしまいます。

なので、ここはしっかり確保しつつも、この例えば本業の収入があって生活が安定している間に、左上の楽しいけど稼げない領域というのものに、いろいろ挑戦してみるということになります。

左上:やりたいけど稼げない領域

「やりたい」×「稼げない」の領域は、副業的に始めてみたり、副業としても難しいようであれば、まずは趣味の範囲からちょっとやってみるというのもあるかもしれません。いろいろ是非試してみてください。

実際にやってみると、この領域で例えばお金を取ろうと思ったらやっぱりすごく難しかったということは出てくるかもしれません。逆にちょっとお小遣い稼ぎで始めてみた副業みたいなものが、やってみたら意外と面白いみたいなこともあるかもしれません。

趣味みたいにやっていたものが、ちゃんとお金ももらえるようになったんだけれども、お金をもらってやろうとすると趣味としての楽しさがないので、これはお金をもらってはやりたくなかったんだなということがわかるみたいなケースもあります。

いずれにせよ、この稼げていないけれどもやってみたい領域の試行錯誤をいろいろしてみることが、充実したキャリアを考える上で非常に重要です。あれこれ試行錯誤することによって、この領域で稼げるようになってきます。

例えば本業で、年収500万円を稼いでいたとします。そのときに、この左上の稼げていないけど、やってみたいとか、やっていると楽しい領域が年間でいうと、例えば50万円、月でいうと4万円くらいの売り上げがたつようになってきた。それは(経費はかからず)ほぼ利益である。そういうことが起こってきたとします。

そうするとやっぱり生活が変わってきます。単純に収入が増えて、生活しやすくなるみたいなのもありますし、これもしかしたら もっと時間を注ぎ込めば、年50万円を300万円や500万円にできるかもしれないというものが見えてきたりします。

上手くいくケースでお話してしまいますけれども、年50万円稼げるようになりましたとなったときに、ここにもうちょっと時間や情熱を注ぎ込めば、もっと売上を増やせるとみえてきて、どんどんと右上に移動して、その仕事で年300万円…400万円…500万円になっていくことは全然ありえます。

そこで例えば年300万円くらいまで売上が増えたら、本業500万円+副業300万円で年800万円になりますが、ここまでいったらこの本業500万円を捨てて、完全に自分で独立して、この300万円を本業にするという風にもっていくこともできます。

これは本当に幅を取りながら考えていただきたくて、いま本業+副業ということで考えましたけれども、本業で楽しさがもうちょっと増やせる領域に転職するという方法で右上の領域に移動できないかということを考えることもできますし、右上に移動させつつ、左上の部分で試行錯誤をしてみるというのもあります。

場合によっては、いまは楽しいと思えていない本業の楽しさを高めるという方法で考えることもできるかもしれません。

とりあえずまずは、このキャリアポートフォリオを使って、現状いまどういう風になっているのか整理してみていただきたいと思います。

そうすることで、自分は右下で稼いでるなとか、結構実は右上で稼いでいるなとか、それでももうちょっと左上を試してみてもいいかもしれないなとか、だとしたら、週に何時間だったらここに時間を注げるかなという風に考えてみていただけるといいかなと思います。

実際にキャリアポートフォリオを使いながらこのようなキャリアを歩んできました

私自身でいうと、特に独立してからしばらくはこれについて非常に考えていました。この右下の「やりたくない」×「稼げる」の領域にあたる、楽しくなかったわけではないんですけれども、相対的に右上のものと比べれば、正直に言うと、そこまで自分が楽しいと思うわけではない仕事もやっていました。

いま時効だと思ってお話してしまうと、10年前くらいによくやらせていただいていた、ロジカルシンキング研修の講師のお仕事などは、毎日のようにやってましたので、今まで何度もやってきていて、私にとっては慣れてしまっていて、ちょっと退屈を感じるときもあるような仕事になっていた部分がありました。

でも一方で、ロジカルシンキング研修のお仕事は、経験も多いので得意で、お客さまからの評判もよくて、お金もしっかり払っていただける、所謂稼げる仕事でした。

なので、その時期は、そういうことをちゃんと生業として頑張りつつ、左上の「やりたい」×「稼げない」の領域にチャレンジをしていました。

当時 私は就活塾(学生の方にキャリアをお伝えして、いい就職していただくというような仕事)をしていました。有料の塾ではありましたが、自分の注ぎ込んでいる時間が半端ではなかったので、時給換算すると泣きたいくらい安くなっちゃうような、そんな仕事をやっていましたけれども、それはもうバランスを取りながらです。

先ほどお話したような研修講師などのお仕事によって、右下の稼ぎもちゃんとあるので、左上の方は時給換算すると雀の涙みたいになっても、これはやりたいからやってみようと思えました。その中で徐々に左上のものが右上に移動していったり、右下をそれほどやらなくて済むくらい右上で稼げるようになってきたりしていきました。

みなさんも是非 このポートフォリオで、ご自身の状況を整理をしてみていただいて、「3年後までにどれくらいの時間の割合と収入の割合にしたいかな」「3年後にそうしたいとしたら、1年後にはこのくらいの割合に変わっている必要があるかな」みたいなことを考えてみていただきたいと思います。

これをプランニングするだけでも、かなり自分のつくりたいキャリアをつくりやすくなってきますので、是非ご興味のある方はご活用いただければ幸いです。

充実したキャリアを築くためにキャリアポートフォリオを使って状況を整理する

  • 「やりたい」「やりたくない」軸「稼げる」「稼げない」軸で、現在の状況や今後なりたい状態を書き出してみると、自分にとっての理想のキャリアが自然と見えてくる
  • いきなり「やりたい」×「稼げる」だけで欲しいだけの年収を稼ぐことはなかなか難しいので、バランスを考えながら、「やりたい」×「稼げない」領域で試行錯誤して、徐々に「やりたい」×「稼げる」領域の仕事を増やしていくのがおすすめ
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