実生活に活かせる 本当に効果的な本の読み方が知りたい

この記事は約10分で読めます。

今回の探究テーマ:営業職 30代 男性 Tさん

インプットを増やしたいと思って、本を買うのですが、結局ほとんどの本が読めないまま終わっています。また、読もうとしても読むのに時間がかかってしまったり、ちゃんと頭の中に入らず、文字を上滑りして読んでしまっている感覚があったりして、最後まで読み切れないということが結構多くあります。本を読んで、仕事や実生活に活かせるようになるためにはどのようなことを意識したらいいでしょうか。

動画で見る

記事で読む

本を読んだ方がいいと思ってはいるけど全然読めていない、読んでも内容が頭に入ってこない

今回の相談について、本を読んだ方がいいという考えがすごい自分にはあって、実際に本も買っていてたくさん家にあるんですけど、たぶん7~8割くらい、読んでいない本の方がほとんどだなぁと思います。

 
読もうとしても読むのに時間がかかってしまうとか、ちゃんと頭の中に入らず、文字を上滑りして読んでしまっている感覚があったりして、最後まで読み切れないということが結構多くあり、そういう悩みというか問題意識があったりしています。

まず、そもそも「聞く」タイプなのか 「読む」タイプなのかという、得意だったり、自分にとって身につきやすいインプットのタイプというものがあります。もしも自分が読むタイプではなくて、聞くタイプだなという場合は、無理して読まずに聞くことでインプットを増やすことがおすすめです。

Tさんの仰るように、本を読む=勉強するというイメージは、世の中一般的にも強い傾向がありますが、もし自分が聞く方が頭に入ってくるなと思ったら、聞くカタチでインプットを増やすのも全然ありだと思います。

先輩にアドバイスを求めて話してもらうこともできますし、今どき動画や音声系のメディアはたくさんありますので、それを聞いてみるのもあるかもしれません。どうしても書籍の方が情報の豊富な領域などもありますが、本も読み上げてくれているオーディオブックのようなものも最近は増えてきたので、そういったものも是非まずは試してみてください。

「聞く」タイプか「読む」タイプか、自分のインプットのタイプを探究してみる

本に書いてあることは抽象度が高くて、いまいち日々の仕事や生活に落とし込めている気がしない

それで言ったときに、結構アドバイスとかもらっても上滑りしているなとか、動画とか観てみてもあまり頭に入ってこないなど、そもそもインプットというのが得意じゃないかもしれないみたいな話だとすると、それはインプットのタイプを変えただけでは解決しないので、考えてみる必要があります。

まずここまで聞いてどうでしょうか。

そうですね、「読む」タイプか「聞く」タイプかでいうと、たぶん「聞く」タイプの方が得意というか、自分に合っているんだなという風に思いました。

 

実際、気になった本は、まずYouTubeなどでまとめられている動画を観るというのをやるんですけど、そうやってまとめをみているだけだと、抽象度が高く感じてしまって……。言っていることはわかるんですけれども、日々の仕事や生活に落とし込むのが難しく感じたり、なんか理論を知っているで止まってしまっている感覚があります。

 

例えば、こないだ出てきたフロー体験の理論なども、理論は知っているんですけど、その後どうするのかみたいなのが自分にとって課題です。

抽象度の高い原理原則は要素分解して自分に落とし込む

仰るように、書籍などで語られているものは、汎用性を高くするためにどうしても抽象度が高くなっていて、多くの場合、原理原則みたいなことが書かれています。

それは例えば、

営業で一番大切なのは何ですか

――お客さまの立場に立って考えることです

このような感じでしょうか。

このときに、この本が言っている「お客さまの立場に立って考える」とは、自分の業務に置き換えたときに実際にどういう場面でどういうことをすると、お客さまの立場に立って考えたことになるのですかという問いは、どうしても出てきます。

自分に置き換えたときにどうするのという観点については、自分でつくっていかなければいけません

先ほどの例(営業で一番大切なのはお客さまの立場に立って考えることです)で考えたとき、例えば、Tさんのやっている営業のお仕事で、「お客さまの立場はどう分解できるのか」を考えてみるといいかもしれません。

お客さまの立場は、「年齢」「人生観」「キャリア観」「ご結婚していらっしゃるのか」「お子さんがいらっしゃるのか」「親御さんの健康状態は」「どこにお住まいなのか」「友人関係はどのような方たちが多いのか」など、恐らくどんどん分解できます。

そうやって分解して整理してみたときに、「都心暮らしで、でも 田舎に介護が必要になるかもみたいなご両親がいて、でもキャリアは頑張りたいと思っているみたいな方」を自分は支援しているんだなとなったら、解像度が上がり、どうしたらいいんだろうかということが具体的になってくると思います。

書籍は多くの場合、本当に原理原則しか書いていないので、そこに書いてあることを、自分の業務に置き換えるとどのような観点に分解できるのかというのを、一旦考えるというのはすごく大事です。本をただ読んで終わりではなく、本を読むとともに、自分で洗い出していく努力はいると思います。

多くのビジネス書では、どうしても汎用性を高めるために抽象度の高い、原理原則しか書かれていないことが多い。これを本当に自分の仕事や生活に活かしたいのであれば、自分に置き換えるとどうなのかという観点は自分でつくっていく必要がある。

つい先日 すごいなと思ったのが、広告・マーケティング・商品開発領域をずっとやっていらっしゃるプロフェッショナルの方がいて、「例えば、この何の変哲もないボールペンを広告を出して売りたいみたいなときにどういうアイデアが浮かぶんですか?」とお聞きする機会がありました。

「このペンというものを、まず要素分解するんですよ」と言われたのですが、私は恥ずかしながら、ペンの機能なんて、スムースに書けますくらいしか思い浮かびませんでした。

でもその方曰く、もういくらでも観点があって、「製造元がどこなのか」「例えば京都の老舗の工場で…」「このインクは特別な材料で」「製造プロセスが他と全然違います」「有名人の●●さんが愛用しています」というように、本当にいくらでも出てくるんです。

今回の話はその商品の売りとなる観点を探しましょうということなんですけど、やっぱり1~2個しか思い浮かばない人と、5個でも10個でも思い浮かぶ人がいて、そこがプロとしての違いなんだなと思ったりしました。

本を読んだときに観点を自分でつくるという話でも、本に原理原則が書いてあったときに、自分の業務でいうとどういう観点があるのか、自分の実生活や個性でいうとどういう観点があるのかについて、よりさまざまな要素が出てくるようになることが理想です。

そしてここは、トレーニングによって磨ける部分でもあります。初めて考えてみた人よりも、やはり何度も考えた人の方が観点がスムースにたくさん思い浮かぶということはありますので、是非インプットを増やしたいときには意識してみてください。

確かに、本を読むときに、そういうプロセスは挟んでいなかった気がします。例え、挟んでいたとしても、浅いところでしかできていなかったのかなぁとは思いました。だから、文字を読んでいても上滑りで、頭に入ってこないのかなという感じがしました。

 

あとは そうですね……何となく読んだ方がいいと思った本を手に入れたりしたんですけど、そもそも自分の仕事上の課題は何で、それにとって何が必要だからこの本を読むみたいなところを考えないといけないなという……ちょっと言葉にしてみると、当たり前ですけど、そういったところも考えてなかったなと思います。

本に書いてあることをやってみないのであれば何も変化は生まれない

私は最近は読書量は減りましたけど、本を読むタイプで読む方で、そして、自分としては本を読んで、その本に書かれたものを活かすこともできている方だと思っているところがあるのですが、やっぱり他の人と話をしていて、本の読み方の違いを感じることがあります。

それは、先ほどお話した、本には原理原則が書いてあったときに細かく要素分解していくことを多くの人がしていないというのもそうですし、それも含めて、そもそも例えば 本の中に「これをやってみてください」と書いてあることを多くの人がやっていないというところです。

例えば本に、1週間に1回5分でいいのでこの観点で日記をつけてみましょうと書いてあっても、多くの人がやっていない。試していない。

やっていなかったら成果は出ないですし、その著者が伝えたかったノウハウは絶対に自分のものにならないので、最初からやる気ないのであれば、読まなくてもよかったのでないかと意地悪なことを言いたくなるくらい、本当にやらない人が多くてもったいないです。

もしも書籍などインプットを仕事や実生活に活かしたいと思うのであれば、まずは言われたことを少しでも試してみることが大事。

「共感できない内容」が自分を成長させる大事な要素

あともうひとつ、本の読み方で気を付けているところがあります。本を読んだとき、自分が「共感できる内容」「共感できない内容」の、大きく2つに分類できると思います。

そのときに、実は多くの場合 大切なのは、共感できない方の文章です。

例えば、仕事のスキル本などを読んでいて、「そうそう、そうだよね!」と思ったら、それはきっと既にある程度やっていることだと思います。だけど実際は、それでは成果が出ていなくて、そういったスキル本やノウハウ本を読んでいるのだとしたら、自分が共感できないと思うことにこそ、新しく試してみる価値があるのです。

「そんなことやって意味ある?」「そういうの絶対に上手くいかないと思うんだよな」と自分が思うことを、著者はおすすめしている。もしかしたら、それをやっていないから、自分が上手くいっていないのかもしれないと思って、本を読まないのであれば、これもあまり本を読む意味がありません(インプットは増えません)。

自分が知っている、わかっている、共感できるというものだけを吸収しても、自分は成長しないので、そんなことやります!?ということに取り組んでみることが大事だったりします。

そうやって自分を広げるための材料として、本や動画、先輩からのアドバイスなどを受けとめないのであれば、インプットを増やし、自分の成長に繋げるということは正直に難しいと感じます。

注意していただきたいのは、これは何でも無批判に、鵜呑みにしましょうということではありません。本に書いてあるけど、これは自分のポリシーとしてやっぱり絶対にやらない、この著者はこれをおすすめしているけど、私はその手段を取ってまで成果を出したいとは思わないということは、全然あっていいと思います。

大事なことは、何も考えずに「共感できないからやらない、無視する」ではなくて、自分の中で、ちゃんと著者と意見と対話がすることが大事です。

成果を出すためにはやれと言われているけど、自分は嫌だなと思っているな。何で嫌なんだろうか。自分はこういう背景があって、だからやらないんだな。何となく嫌なだけで、ちゃんと反論できないから、まずはやってみよう。

このように、本とちゃんと対話しながらやっていくと、身になる本の読み方になると思います。

共感できる内容ばかりに注目していても、新しいことは吸収できず、自分の視野は広がらない。共感できない内容に対して、何故自分は共感できないのか、やらないのかなどを自己探究し、ときには共感できない内容にこそ、挑戦してみることが成長のカギ。

いま説明してくださった2つ。「やってみて」と書いてあることをやらないみたいなことは、結構本を読んで満足してしまうので、なんか思い当たる節があるなぁというのと、共感できないことをやるというのはすごいそのとおりだなと思いました。

 

本でそいうことがあったわけじゃないんですけど、すごい昔の話で…部活に来ていたコーチが言っていたことを納得感がないからやらなかったというのを今 思い出したりして。結構思い当たることが割と昔からあるなぁと思ったので、自分がやっていないとか、理解できないとか、共感できないことを取り入れて、変化を生むみたいなことはすごい大事なんだろうなという風に思いました。

インプットを増やしたい!本当に身になる本の読み方は

  • 読んだら「これをやりましょう」と書いてあることは、基本必ずやってみること!そこでやらないんだったら本を読んだ時間がもったいない・・・「読んだだけで満足」しない!
  • 本に書いてあるのは抽象度の高い原理原則が多いので、「自分の立場だったら?」と具体化する作業は自分でやる必要がある
  • また、本を読んでいて「共感できない内容」こそ、取り入れてみたり、やってみたりすることが成長・変化のためには大事
タイトルとURLをコピーしました