人の相談にのる仕事をしていたとき、まずは自分が同じ立場を経験する必要がある?

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今回の探究テーマ:広報・総務 30代 女性 Tさん

副業で占い師の仕事をしていて、経営者や部長など人の上に立つようなポジション、役職者向けの支援がしたい。なので、まずは自分がその人たちと同じ景色を見ない限り、わかってあげられないことってあるなと思っています。

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対人支援職をするためには、自分もクライアントさんと同じ体験が必要?

副業でやっている占い師の仕事について、じゃあ 自分がサポートしたい人って、どういう人なんだろうと考えて、役職者の方のサポートをしたいなって思ったのが5~6年前くらいです。

役職者というのは 社長とか部長とか?

そうですね。管理職?課長やリーダーでもいいんですけど、上に立つ人たちが少しでも、まぁコーチングと似てますけど、何かハッピーに仕事してたりとか、やりがい持って 成長意欲をもって、楽しんで人生を送りつつ、仕事をしているというような人たちが増えれば、部下の人たちや同僚たちも絶対にいい影響あるよなと思って。

 

それは何か、コーチングという関わり方でもいいし、占いという入り口でも、何でも自分の中ではいいんですけど、そういう人の上に立つような、もしくはマネジメントをするような人たちのサポートをお手伝いとかできたらいいなと思って。そんな想いもあって、今の会社にマネージャー候補で入ったのが5年半前くらいなんですよ。

 

まずは自分がその人たちと同じ景色を見ない限り、わかってあげられないことってあるなと思って。マネジメントする苦しさとか難しさとか、こういう下からも突き上げられて、上からも圧迫されての苦しみとかって。

 

なんか もっとわかってあげられたら、もっと一緒に考えてあげられるよなとか、同じ景色がみれたら向こうも安心するよなみたいなのがあって、今の会社に入ったんです。

なるほど。

そこから話が2つあって、1つは、結局今の会社で、マネージャーにあがれていないというところと、もう1つは、今の仕事が忙しすぎて、占い(副業)どころじゃなくなって、ようやくなんか余裕が出てきて、副業をもう1回再開しようかなって思ったのが去年くらいで。

 

まる4~5年くらいずっとお休みをしていたみたいなのがあり、占い師としては、フリーでやっていて、どこにも所属していなくて、○○分でいくらという固定で、ちょっと長尺でやっているんですけど、ブランド力も吹っ切れてないし、何なら腕が落ちちゃっていることをすごい感じていて、当時やってた金額よりも半額で、1年半年くらい腕慣らしみたいなのをしてたんですけど、そろそろ価格を戻そうかなとか、まぁブランド力・集客力とかちゃんとつけていかないと、このまま据え置きになっちゃうよなというのは思っていたところです。

これはちょっとわからないですが、腹を据えて、占い師でやっていくと決めてやっていくんだったらやっていくというのはあると思います。

だとしたときに、対人支援の仕事をプロとしてやるということについて、私からレクチャーできるかなとか、ちょっと偉そうな言い方でいうと、わかってないのかなとちょっと思った部分があったので、少しお話してみたいと思います。

例えばわかりやすく、臨床心理学やカウンセリングの世界でいくと、カウンセラーの人は、大学を出て 大学院を出て、社会人のスタートからカウンセリングをやって、社会人経験はカウンセラーしかしてませんという方も多くいらっしゃいます。

例えば、自分は性別は男です。じゃあ 男性のカウンセラーは、女性を経験してないから女性のカウンセリングはできない。経験してないんだったらできないという理屈でいうと、男性カウンセラーは男性しかカウンセリングできない。理屈上、年上もカウンセリングできない。

いや 何だったら 職業でいうのなら、営業職もやったことがないし、経営者もやったことがないし、アーティストもやったことがないし、誰の相談にものれない。そうではないから、プロとして心理相談職をやっている。

では、対人支援職がプロとして成り立つのは何故かというと、他人の経験を 我がこととして感じる努力を続けているからできるんです。営業の仕事ってそういう苦しみがあるのか、経営者ってそういう苦しみがあるのか、クライアントから教わる。

たぶん職業として近いのは、役者さんかもしれません。役者さんも、もう学生の頃から劇団にいて、役者の世界にはいって、ずっと役者でやってきましたという方が多く、ほとんどの人が役者しかやっていなかったりします。

役者しかやってないけど、いろいろな役柄をやってきましたと。貧乏人の役もやったし、お金持ちの役もやったし、モテる人もやったし、すごいモテない人もやったしとか。いろいろなことをやってきているから、結構役者さんは、懐が深い人が多いようなイメージもあります。

経験してみないとという発想は、私たちみたいな対人支援職の人間はある種 持っちゃいけないとも思っています。経験すればわかるも、ある意味傲慢さだったり狭さだったりとも言えて、どこまでいっても私の体験とあなたの体験は違うわけだし、でも、違うものを引き受けるとか、共感しようとする努力をするとか、理解しようとする努力をするから成り立っているのであって、経験が同じでわかるからできる仕事のわけではありません。

そこは対人支援職の本質のとりかたとして、ちょっと考えなおしてもいいのかなというのは思いました。

人の相談にのるような仕事では、自分とは全く違う別の人間の苦しみや悩みを受けとめたり、一緒に考えたりするようなことが求められるわけですが、自分も似たような経験があれば、より理解できる、わかってあげられるというのは、少し危険な発想かもしれません。

どこまでいっても私の体験と他者の体験は別のものだったときに、対人支援をするとは、自分の体験と照らし合わせて「わかった」「共感できる」から成り立つのではなく、他人の経験を我がこととして感じる努力を続けているから成り立つものです。

「あなた、経験したことないですよね?」と言われたらどうするのか

んー そうですね……それはあるなと思っていて、違和感は全然ないんですよ。

 

一方で、自分の今 思っている感情としては、えっと…仰るとおり そもそも違う人だから同じく、同じ役職、同じ業務だったとしても、感じることも経験できることも全く違うよねっていうのもよくわかっています。

 

その上で2つ思うことがあって、1つは、私は、ちゃんとビジネスマンを経験しているから、あなたにお願いしたいと言われることが意外と多い。お客さんがそういう風に言ってきてくれる。というのが1つと、

 

もう1つは 自分も、何ていうのかな…カウンセラーさんとか、ちゃんと…何だろう、何をもってちゃんとしてるっていうのかな…ちょっとそこの気持ちわからないんですけど、占い師さんって誰でもなれるし、変な話、「うんうん」聞いてればいいみたいな人も多いので、例えば ちょっとこないだある占い師さんがセッションをするそばにいて、聞いてたりしたんですけど、すごい言い方 大丈夫かなっていう感じで。こっちが聞いてて、なんかクライアントさんが怒るんじゃないかみたいな感じの伝え方とか表現をしている姿とかを見て、わかった風で言っているけどそれ絶対にわかっていないよねっていう回答したりとか。

 

私は社会に出て、ごりごりビジネスマンをやってきたのですが、その例えばクライアントさんも同じくビジネスをごりごりやってて、そのお悩みは、すごい追体験じゃないけど自分は体験してないけど、めっちゃわかるし、いや、それあるよねというのを踏まえた上で、いろいろな提案を出せることが、自分は意外とあるなぁと思っているんですけど、

 

その一緒にセッションをしてたのを見てる方とか何人かは、いや、そこもっと聞いた方が本当はその人どういう状況なのか、どういうシーンなのか、それによって判断も変わるよねっていうところも流しちゃったりとか、そこもっと言ってあげた方がいいよねとかそこで悩んでいるんじゃないと思うんだよなとかっていうシーンを目の当たりにして。

 

何か一定その…うーん、上手く言えないですけど、石川さんがさっき言ってたみたいに、わかろうと理解してあげるだけでいいのかもしれないですけど、それができてないって人が占い師の中では意外と多いなと思うシーンが、自分の中にはあって、なので、自分はそうじゃなくてちゃんと、まぁ……偏りはあるけれども、社会人のビジネスマンとしては何かちゃんと頑張ってやってきているから言えるよみたいなのを大事にしたいと思っています。

これは今 素直に1つ、自分の中で思い浮かんでいることは、私の場合は コンサルタントとして、経営コンサルタントとか、組織コンサルタントとか、経営者の相談にのりますと言って、やってきていて。で、以前は「でも 結局 石川さんはコンサルタントで会社 経営してないですよね」と言われることに、結構びくびくしていた。

※石川は、Co-ducation社の代表取締役社長ではありますが、社員数1人の小規模な会社であり、社員を何十人も雇用している経営者の方からすると、経営者というよりは個人事業主的に近いような感じです

びくびくしていて、言われないようにとか、言われても反論できるようにとか、結構思っていました。

それはそれで、それがエネルギーで、だからちゃんと知識で負けないようにしようとか、努力できたし、もちろんマイナスの面だけではなかったんですけど、正直最近は「でも 石川さん 社長やったことないですよね」とは、まず言われなくなりました。

言われることがないし、もし言われたとしたら、「まぁ社長やったことないんですけどね」と、ただ普通に「そうですね」と返すと思います。

自信とはなんだという話なんですけど、自分の専門性に対する自信はあるのかなと思います。社長をやったことなくても、社長の相談役はできるんですよという自信はちょっと1つ思っていて、Tさんも、プロとして自信を持つというのは 1つあるんだろうなと思ったりしています。

前回話していた単価の話もそうだし、お金のもらい方とかもそうだし、クライアントに接するときに、経験や知識を増やす努力はもちろんそれはそれであるですけど、プロとして踏み出すときは、たぶんどこまでいっても全クライアントの経験値は得られないわけだから、占い師のプロなら占い師のプロとして、ここからは私はプロだと宣言してやっていくのも大切だと思います。

それは何か1つ、踏み出さなきゃいけない、乗り越えなきゃいけないラインはあるのかもしれないなと思いました。

もし、コーチングや占い師などの対人支援職で、自分が体験したことがないから、この相談にのれないと思っているのであれば、必要なのは実は経験や知識ではなく、「自分の専門性に対する自信」かもしれません。

もちろん経験や知識を増やす努力を続けることは大事ですが、まず「私は○○のプロである」と宣言し、一歩踏み出すことも重要。

師匠がすごすぎて、自分の今のレベルでお金をいただいていいのか自信がない

それを聞いて思ったのは、私も師匠がいるんですけど、師匠が圧倒的すぎて。いい師匠にあたったなと思っていて、そう思えるくらいのお師匠さんなので、自分としては本当にいい師匠だなって思っているんですけど、見えている背中が大きすぎて足元にも及ばないと思ってしまいます。

 

どんなに頑張っても師匠を越えられない、越えられなくていいんですけど、だって師匠も一緒に走っていっちゃうんで……いい師匠なんですよ。その師匠の背中をみているので、もう永遠にまだまだだなって、本当に自分ってできてないなって思うシーンがやっぱりあるなぁって思ったので、何て言うのかな……

 

そのさっき言ったセッションに立ち会うとか、他の人の何かセッションとかを見たときに、ようやく自分、意外といけるぞみたいなのを感じたんですけど、でもなんか確かに、何かあんまり自信はないなぁってちょっと気づいたのが1番ありますね。

私もですね、組織コンサルタントみたいな名乗り方をしていて、お師匠さんは組織コンサルタントとは自分のことを名乗っていませんが、お仕事の内容としては、大きく言えば、同じジャンルの仕事をしているんですけど、まぁ師匠には一生敵わないんですよ。なので、この人は師匠なんだとも思います。

この人は師匠なんだなと思ったのは、人生 二まわり 三まわり違うな、生まれた数が違うという感じだったから、この人には今生で追いつけるわけがないという前提を持っています。努力はし続けますけどね。

実際独立して、師匠と同じような仕事をし始めて、わかりやすくいうと師匠は例えば、100万円でやっている仕事を、自分は10万~20万円でやっていますみたいな感じでやり始めるわけなんだけど、わかりやすく100万円と10万円だとすると、理屈上、1/10の価値は出しているはずなんだけど、自分は知っているのよ、師匠の1/10もいってないのを。

1/10もいってないのは知っているんだけど、これはまた、単純にそれだけで金額(価格)は決まらなくて、それこそじゃあ 他に10万円払って、これだけ価値を出せる人が他にいるんですかみたいなのでいうと、自分は10万円でも結構いい仕事しているなみたいなことはあったりします。師匠の方が安すぎるのかみたいなことだってあります。

ちゃんと相対化するのは大事で、実際問題のラインとして、プロデビューできるラインみたいなのもあるとは思います。そこをちゃんとみるのは、それはそれで大事な気がしています。

自分のサービスに価格をつけるのはとても難しい。師匠と比較したら、「こんなにいただいていいのか」となったりするかもしれませんが、大事なことはいろいろな角度から相対化してみること。

私の師匠は、何歳なのかな……60代後半くらいなんですよ。で もう本当にこの道一本で、プロでもう何十年とやっている方なんですけど、もともとのスタートは、社会人・ビジネスマン経験があって営業をしていたとお話を聞いたことがあります。

 

なので師匠に仕事とかキャリアの相談をしたときの、回答というか答えがすごいリアルですごい響いたんですよ。それは例えば ディスりたいわけじゃなくって例えばの話で、短大卒でそのまま結婚して子育て頑張ってきましたっていう方 主婦さんで、子育てが離れたから、じゃあ人の話も聞けるし占いでもやってみようかしらっていう占い師さんだと、到底返ってこないような具体的な仕事上のビジネス関係とかお付き合いの仕方とか、っていうところが返ってきたときをみて自分もビジネス相談をメインにはしてるんですけど、ああ何か わかる人に聞いて回答してもらえるって、やっぱり気づき・きっかけみたいなのも深まるなぁって思ったんですよね。

それは、ちなみに、すごいストレートに「それは若い頃のビジネス経験があるから喋れてるんですか」とお師匠さんに聞いてみてもいいかもしれないなと思いました。

例えば聞いたときに、「いやいや 9割方はお客さんから教わったのよ」だとしたら話が変わってくるからと思ったんですけど、どうですか。

師匠に聞いたことはあって、仰るとおり、やっぱりクライアントさんの悩みを聞くからわかることもあるけど、やっぱりベースは自分が社会人として働いていたからこそかなとも言っていました。

あと、ここまで話してきて思ったのが、私のお師匠さんって激安でやってるんですよ、セッションを……。

 

多分本当は、昔 若い頃はTVとかにお呼ばれして、もっとそういう方に舵を切ったらもっと有名で、何をもって大成功かはあれですけど、大成功していたんだろうなというお師匠さんなんですけど、今 師匠のセッション、めちゃめちゃ安くて、それこそ10分1000円ばりにやっているので、師匠であんな金額なのになっていうのもあります。

なるほど……人生のフェーズも違うから、難しいですが、お師匠さんにちょっと文句気味に言ってみるのはどうでしょうか。「師匠が安すぎるんで、なんか私、単価上げるのにブレーキかかります。師匠のせいなんですけどどうしてくれるんですか」と言ったら お師匠さんはなんて言うんでしょうか。

お師匠さんは なんかすっごい買ってくれるんですよ、私のことを。

あなたはあなたのもらえる単価でやればいいのよ、みたいに言うんですかね。

言うと思いますし、あなたのそのスキルだったら、もっとどんどんやっていきなさいって言ってくれると思いますし、まぁちょっと料金の話じゃないですけど近しいことは言ってもらったことがありますね。

 

………高い単価でやる……(を、やってみるということかぁ…)

コーチングや占い師など対人支援職をするなら

  • 対人支援職がプロとして成り立つのは、他人の経験を 我がこととして感じる努力を続けているからできる
    ⇒占い師やコーチは「役者」に近いところもある
    ⇒「経験したことがない仕事の役はできない」ということはないのと一緒
    ⇒もちろん経験がある方がより具体で対応できる面もあるけど、経験が必ず必要なものでもない
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