【転職当たり前×売り手市場の現在】管理職・リーダー層が知っておくべき マネジメントの考え方

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今回の探究テーマ:営業職 マネージャー 30代 男性 Mさん

大企業の新規事業領域の部署のマネージャーをしています。所属している部署の事業が、ビジネス的になかなか難しい状況で…お客さまから評判があまり良くない商品を、でも何とか売らなきゃいけないような状況です。できることは、とにかく提案量を増やすというような、気合と根性で頑張るようなことくらいだけど、それを部下に言うのかどうか。どう働きかけていけばいいのか。行き詰っています。

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部下に自分の部署の厳しい現状を正直にすべて伝えない理由は?

事業的には、ここで頑張ってやらなかったら、明確に今後投資しないと言われていまして。なので、商品の改善に投資もできず、さらに泥試合をずっとすることになるのでなんかそこは避けたいみたいな話と。

 

あと、言うて営業組織なので、成果出たら多少コンディション良くなると思うんですよね、きっと。そうしたときに、この四半期の頑張りは基本売上で行くと次の四半期に返ってくるので、第一四半期に頑張ったものが、ちゃんと第二四半期返ってきたねみたいなことに繋がるというのが、やる理由というか、やらなきゃいけない理由付けみたいなところなんですけど……。

 

さすがにその現場で働いている営業とかには、数字がいかなかったら、お前ら投資なくなるからなとかは、当然言えないので、そこの意味付けとか結構難しく、現状で言うとその評価に組み込んで、高い目標を持ってもらっているっていう運用にはなってます。

私は基本的なベクトルとして、社内の透明性を高めて、情報などはできるだけオープンにしていって、1人1人の主体性が高まる組織の状態をつくるみたいなことをしていることが多いので、そこも前提にありつつ、気になったところからお話させてください。

今のまま数字でないと、今後投資なくなるよという話のところで、1つは、部下からすると、そんなこと言われても知ったこっちゃないよという話もそれはそれであり得ると思いますし、それはあるかもしれないですけど、「投資なくなるよは言えないので」というのは言わない会社もあるけど、別にそこも共有しながら進めていく事業などもあるとは思います。

それを言わない、言えないみたいなのは、何でなんですか?

あまりちゃんと考えてなかったですけど…そこまで、その理由を聞いたことで、それが頑張るエネルギーになる人間があまりいない感じがするのと。

 
どちらかというと会社的には、すごく期待されている事業だよっていうメッセージでずっときているんですよね。で、というところに急にその話を放り込んだら、特に新人の子たちがあれ?ってなっちゃうので、前後の流れも含めて、言わないにしている、言わないにしようという会話を部長とかとした記憶があります。

本当にメンバーに主体的に動いてもらうマネジメントは?

ちょっと私なりの考えを一旦話をするんですけど、メンバーの巻き込み方とかマネジメントの仕方は当然いろいろあって、例えばさきほど話した透明性を高めるという話も、オープンにしてくもクローズにしていくもゼロか100かではないので、どれぐらいの割合だろうねというところがもちろんあります。

究極本当にメンバーに主体的に動いてもらうということを考えると、現実感はちょっと置いておいて、理屈上は、透明性が高ければ高いほどいいです。

要は 期待している事業だよと言っても、ビジネスなので、儲かってなかったら当然撤退もしますよとか、期待している事業に入ってもらうけどそこで活躍できなかったら、あなたの評価当然下がりますよとか、というのは セットであるわけですよね。

ビジネスの現実として、そのことの伝え方や伝える割合などをコントロールしながら、部下やメンバーのモチベーションあげていくみたいなことは、もちろんあるんですけど、本当に人が主体的に働くのは、その現実をちゃんと1人1人が理解して、その上で、セルフマネジメントして自分で頑張るという状況をつくれるのが、ある意味主体性に振ったときの理想といえば理想なんです。

でもその現実を突きつけられたときに、頑張れる人とは限らないというのがあるので、クローズドにしながら上手くちょっと隠したり誤魔化したり、いいところだけ伝えたりとかしながら、何とかやってもらおうみたいにしていくという面があると思います。

ただ、でもこのやり方だと、結局管理職が頑張って、部下やメンバーをケアしてあげなきゃいけないっていう状態をつくっていくわけです。それが駄目なわけでは全然ないんですけど、構造的にそうなります。

本当にメンバーに主体的に働いてほしいと思ったら、「今 自分の担当するビジネスの状況はどうなっているのか」「自分は何故この仕事を頑張っているのか」などを、ちゃんと1人1人が理解し、その上で、自分の頭で考えて動けるということが理想的な状況。

でも、それはなかなか難しさもあるので、現実的には、情報を適宜クローズドにしたり、伝える内容を調整したりしすることで、上司が部下のモチベーションを管理するということが起きるが、この方法は、上司が部下のモチベーションを頑張ってケアし続けなければいけない構造になっている。

私は普段仕事で、中小企業の組織づくりのご支援をしていますが、経営者の方に「どんな会社にしたいですか?」「どんな会社組織にしたいんですか?」という話をしたときに、今の話はどうしても出てくるんですよね。

うちはもう情報をフルオープンにして、1人1人がちゃんと自分で考えて動ける状態をつくりたいですという社長さんもいるし、いやぁ たぶんオープンにしすぎたら、つぶれちゃうんじゃないかなぁと言う人もいるし、それはいろいろなケースがあります。

そういうのもひっくるめて、自分はマネジメントする人間として、どういう経営哲学なのか、マネジメント哲学なのかというのは、すごく大事なところだなぁと個人的には思ってます。それによって、たぶんこういう状況になったらこうするみたいな、自分のベースの哲学があったときに、判断しやすくなってくるのかなというのは思うんです。

何か今のを聞いて感想でも違和感を感じたところでも、何でもいいんですけどなんかありますか。

考え方は、僕もなるべくオープンにした方が、引き出せるんじゃないかなって思っているタイプ…なんですけど、なんですけど……どれくらい、その管理職である僕もそうですし、あともっと大きく捉えると事業というものに対して、どれぐらいメンバーが、やばいんだ、コミットしようって思うかがちょっと見えないなって思うんですよね。

 

現状で言うと、なので今 情報をオープンにしたときに、あ、やばいんだ、みんなで頑張ろうって言ってくれるメンバーの顔がほぼ浮かばなくて。

 

なので、いい年齢のメンバーは社会人経験が長いので、そりゃやんなきゃいけないよねってなるんですけど、それ以外の人たちがそこまでコミットしてくれる、何で言うんですかね…組織風土というか、コンディションというか……のイメージがあんまりわかないですかね。

 

ちょっとみんな疲れちゃっているっていうのはあるかもしれないですけど、会社に期待していないとか…っていうのが感想なので、さっきの考え方のところはいいなと思いつつ、現実それやったらどうなるんだろうというのと。

 

あとは究極、僕がその事業の責任者だったら、オープンにしたかなと思ったんですけど、横並びのマネージャーが何人かいる中で、いや、うちの組織はそんなことを言ったらおかしくなるから言いたくないとかっていう意見もあったりして、なんかそことのバランスでも言えなかったなぁみたいなのはありました。

【転職当たり前×売り手市場】でマネジメント側が考えなくてはいけないこと

ちょっとこれは机上の空論みたいな話を続けてしまうんですけど、最近その会社を船に例えていうことがよくあるんですけど、目的地に向かって、みんなで船に乗って、船を漕いでます。船が会社で、船長が経営者(マネジメント層)、漕ぎ手が社員です。

船長と漕ぎ手がいて、みんなでオール漕いで、船を動かして目的地へ向かっていこう、頑張ろうというときに、終身雇用が基本の時代だったときは、船に乗ったら(会社に入ったら)、乗った時点で一蓮托生です。降りたら裏切り者ですくらいのなんか圧がありました。

だから例えば、船に穴が開いて、浸水してきたみたいになったら、みんなで直すの当然じゃんという感覚がありましたし、ちょっと進捗が遅れていたら、徹夜してでも漕ぐの当たり前じゃんみたいな感覚があったのではないかと思います。

でも今は、なんかこの船、エアコンきいてなくて暑いなとなったら、多くの人が自分たちで直そう、改善しようとはならず、転職して他の船に移っていってしまいます。

時間までに目的地にたどり着けないかもしれませんと危機感を伝えたら、この船やばいらしいよと、他のもっといい船いこうと、転職しましょうとなってしまいます。

実際に某会社さんが、もっといい職場がありますとか、こういう会社は転職した方がいいですよとか、常にCMを流しています。あなたにあったもっといいジョブがあるんじゃないですかと散々言っているので、みんな今いる会社が順調ではないと聞いたら、すぐにふぁーって出ていってしまう。

そして売り手市場だから、漕ぎ手の方は、比較的に容易に他の船に移れてしまうので、船が危機ですというときに、じゃあ頑張ろうというモードを持っていないというのは、時代背景的にそれはそうだなと思います。

そうするとマネジメント側としては、この2つの方向について考える必要があります。

  1. 働きやすく事業も順調な船であり続ける
  2. 船の一員として頑張ろうという愛着を持ってもらう

1つ目は、常に快適な勝ち続ける船を作り続けるという方向です。あの船はすごい快適で、漕ぎやすいしいいよね。この船から出ていく理由特にないわという状態をつくるということです。

2つ目は、いや この船に乗っているメンバーはもう仲間で、いきたいところも共有していて、この船が厳しくなったら、自分がこの船を動かしていくんだ、直していくんだ。仲間の中で病気になっちゃった人がいたら、それだって食わせながらやっていくんだというくらい船への愛着を醸成していくか。

快適さなのか、愛着なのか。どちらかを持っていないと、ちょっと厳しくなったら、ふあーって社員はいなくなってしまうですね。それは、船長としてはすごい考えないといけない。

時代的に、昔は船に乗ったら、もう絶対に乗り続けるんだよねみたいな、降りたら裏切り者だよみたいなそういうのがほんと昭和の時代にはあったと思うんですけども、平成も超えて、令和になって、マネジメントとして、エンゲージメント(会社と社員の関係性)を高め続ける、維持し続けるみたいなのがすごく難しくなっていると思います。

そこはやっぱり考えないといけないし、だからそのMさんの状況を聞くと、前にいた部署はすごい強い船だったんだと思うんですよ。大企業で売上の柱となっている勢いのある事業にいて、船に例えると、この海域では負け知らずみたいな場所で、そしたら人も入ってくるし、出ていったとしても、次もそこでやりたいですという人も、ある種すぐ補充できるし。

部署が異動になり、まだ売上の安定していない新規部門のマネージャーになって、そうじゃなかった状況が今きているときに、そうすると大急ぎで、船を強化することを頑張るか、ぼろい船なんだけど一緒に頑張りたいという状況をつくるか、それはありますよね。

ただ、ちょっと評論家的な視点でしか言っていないのである意味目の前の現実的には何の役にも立たないかもしれないんですけど、お伝えしようと思ったところです。どうですか。

あぁ…そうだなと思いながら聞いていて。これ半分雑談みたいになっちゃうんですけど、今のうちの会社って…何て言うんですかね、今の事業で言うと、結構ボロ船なんですけど、会社的にはまぁ豪華客船なんですよね。

 

で、昔はその豪華客船で動力もあるのに、ひたすらオール漕いでやるぜ!おらぁ!みたいな人たちを採用していたんですよ。が、気付いたら人事制度がそうじゃなくなっていて、それにつられて、豪華客船でゆっくり過ごそうみたいな人たちがいっぱい乗っているみたいな感じなんですよ。

 

なので、意外と、なんていうんですかね、降りないんですよね。降りていく人も当然いるんですけど、えっと…意外と降りずに、ずっとこうのらりくらりやっているみたいな人たちが、昔と比べて増えたなっていうところと、あとは、なんか喋りながら思ったのは、昔ほどパワーでいけない、ハラスメント系のところも含めて、にちょっとこう、んん……船長たちが悩んでいる、悩んでいるというか、号令をかけきれていないみたいな現状もあるのかもなぁっていうのを、さっきの船の話を聞いて思いました。

「転職は当たり前」×「売り手市場」の現在

  • 「働きにくいな、職場環境悪いな」「業績厳しいのか、事業上手くいっていないのか」という状況になると、すぐ社員が転職してしまう

これからのマネジメントでは、次のどちらかは持っていないと厳しくなってくる

  1. 働きやすく業績順調な会社であり続ける
  2. 会社の一員として頑張ろうと思えるようにエンゲージメントを高めていく
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