自社が置かれている難しい状況を営業としては上手いことお客さまに説明してほしいが…それが【できる部下】と【できない部下】どうマネジメントする?

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今回の探究テーマ:営業職 マネージャー 30代 男性 Mさん

自社の事業が難しい状況にある中で、営業として、上手いことお客さまにも状況を説明してほしいけれど、部下によっては意図を誤解する可能性があり、指示・マネジメントが難しい。

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部下によって能力に差があるときにどうマネジメントするか

前回の話で)新規事業的な部署で、なかなか難しい状況の中でサービスを展開しなければいけない状況だと聞いていますが、もうお客さんに「実は…」と上手いこと状況を説明してしまうという手はないんでしょうか。

営業は僕の配下でいうと12名くらいいます。仰るように、こういう状況下で、何かお客さまに上手いこと説明するのが上手くできる人/できない人がいて。いち自分が営業だったら、たぶん上手いこと説明して対応するんだろうなと思っていて、部下の中でもベテランは、たぶん上司である自分と全く同じことを思っていて上手くやれる、何なら既にやっているかもしれないんです。

 

けど、それが上手くできない人に伝えようとしても、何か変な伝播の仕方になり、組織全体で頑張らなくてもいいと言っているんだみたいになると、ちょっと隣の組織とか 周りというか見られ方がよくない恐れがあったりします。

 

要は、一応 数字を追わされているので、営業として、もっとやれよで余計首締まるみたいな話になってしまうのを考えると、組織のマネジメントをする立場としては、今 難しい状況だから、それを上手いことお客さんにも説明してよは、推進しにくいというのが感想です。

そうですよね。いや 今 Mさんが言っていたのもすごくよくわかります。今 すごい大事な話だなと思って、まず 部下の方が10名~20名いるときに、部下によって差がありますよねということを認知・把握しているのは素晴らしいし、差があったときに部下のレベルによって当然アプローチが変わるわけです。

これはちょっとどれくらい時間を取れるかみたいなリソースの制約をいったん無視してお話してしまうのですが、「ちょっとわからないかな」「上手くできないかな」「伝えても誤解されちゃうかもしれないかな」というメンバーに対して、ちゃんと時間をかけて 丁寧に伝えて「そもそもビジネスって」「会社の構造って」「こういう風に波がこないときもビジネスではあるんだよね」と、「これは常にそうではないから、サボっていいという話ではなくて今 こういう構造だからたまたまそういうタイミングなんだよ」みたいなことも含めて、せっかくの機会だからビジネス経験として教える。

もしこれでちゃんと伝わったら、今後 その人たちがビジネスの波がきているときはちゃんと頑張れるし、また別のときに、前 経験した新規事業のときにやったけどこういうタイミングってあるよねとすっと対応できたり、そのときに後輩たちに同じように丁寧に伝えることができたりするということは全然あり得ると思って、そこは丁寧にコミュニケーションすることによって悪影響になる可能性というのをかなり小さくすることはできるんじゃないかなとは思います。

ビジネスをやっていれば、今後もこのような状況を経験する可能性はあるときに、時間的制約などから現実的にできるかどうかはあるが、今 自社で何が起きているのかを把握できていない部下・後輩に、会社の構造などを含めて丁寧に状況を教えることができるようであれば、伝えることによって、部署・チーム全体のビジネスリテラシーを高めていくことができる。中長期的な組織の成長という観点で大事なアクション。

そうですよね。でも、日常 数字を追わされている中で、そこをどう伝えるかはちょっと難しいなというのがありまして、そうは言うけど、おまえ数字おろしてくるじゃんって思うところですよね、受け手は。

そうか、数字は数字で聞いてくるということですものね。何件いった?とか。

はい。で、会社としてはそういう数字を追うのが社風だったりもするので、そこの求める高さが変われども求められるみたいなところが、中でちょっとコミュニケーションが難しい気はしますね。

何かその本音と建て前みたいな建て前を消せるわけじゃないから、本音を言っても、「いやでも、この建て前どうしたらいいんですか」と若手からすればなるしということですよね。

そうですね、そうですね。

でもその本音のところを伝えて、建て前の処理の仕方も、「今はね」と話したとしてもちょっと若手の人はそれを処理しきれないんじゃないかという感じなのかな。

そうです。何かすごいクローズドな組織であればいいんですけど、うちの会社の場合は、業界ごとに分かれているので、全部で営業組織が5個くらいあるんですよ。

 

(どこの部署でも)たぶん思っていることは僕と全員一緒なんですけど、絵的には競わされている感じにはなっているのでよりそこはやりづらい構図だったりはします。

数字を追えと言われるけれど、一方で今はアクセルを踏めるような状況ではないときにマネージャーとしてどうするか

という状況を、どうマネジメントするかというテーマで、同じレイヤー(階層)とか上長たちと話し合ってみる、検討してみるという手はないんでしょうか。

レイヤー(階層・階級)

仕事においてレイヤーとは一般的に「階層」「階級」のこと。部長レイヤーは要は同じ部長の役職の層のことを表す。

全くそこは考えていなかったです…

 

すごいギャップがあるんですけど、新規事業の部署に僕いるんですよ。で 僕以外って、もともと新規事業の中で育ってきた人たちなんですよね。僕だけが大企業っぽい部署から異動してきている人なので、新規事業あがりの方々は数字に対するコミットメントが半端なくて、実現できるかどうかはさておき、そういう何か数字を下げるのか、ということに対して、明確にNOという感じの人たちなんですよね。なのでそこが全く噛みあうイメージがなく。

さっきどの部署でも同じ共通認識をしていると思うという話があったんですけど、そういう意味だと 共通認識ではないんでしょうか。

しんどいということに対しての状況に対してしんどいというのは同じ認識なんですけど、そこに対して やらなくてもいいよねとかっていうところは また別の問題というか。

そういう感じなんですね。でも、ということは、その新規事業でずっとやってきた人たちは、この状況でもある種 モチベーションを下げずに毎日でも数字を追いかけるぞとやっている感じなんですか。

そうですね。

 

まぁ 出てる成果の高さは、あまり変わらないんですけど、よく言うと旗を降ろそうとしないというかっていうのがありますね。悪くいうと何か組織のコンディションとか全く気にしないんだろうなってみてて思います。

でも コンディションは悪化している可能性はあるということですね。

はい。可能性というかほぼ100%悪化してると思います。

それは要は例えば、マネージャーがMさん以外にも何人かいます。で 何人かはその新規事業でずっとやってきたマネージャーです。その下にそれぞれメンバーがいます。

Mさんから見ると 自分のメンバーを見てても、これ今 きついよねという状況になっている。また、新規事業でやってきたマネージャーのところのメンバーも、今 アクセル踏んでどうするのとなっているけど、マネージャーが一向にアクセルから足を離さないでいるのでどんどん気持ち的には沈んでいってるみたいな、そんな風に見えている感じでしょうか。

あ、そうですね。どんどん人が辞めてます。

これは1つは、捉え方で思ったのですが、今後Mさんがもう1個~2個 レイヤーが上がってマネジメントしていくときの経験という意味でいうと、すごくいい経験だなと思いました。出身母体が違って トーンが違う人たちと、どうコミュニケーションをとって、関わっていくかというのは、なかなか貴重な機会でチャレンジだなというのはいま思いましたね。

大変なんですけど、それをチャレンジしていったら確実にキャパシティーというかケイパビリティというか、それは伸びると思います。

というのも1つの捉え方かなと思ったんですが、これはどうでしょう。

1つ目の そのレイヤーが上がったときに、いい経験になるみたいなのは、ちょっとまだ たぶんそうだろうなとは思いつつも、あまり何かこれ何に役に立つんだっけっていうのは、なんかまだ肌感では思っているというところ。

 

後者のところは…そうだなと思って……そうだないうのは仰るとおりだなと思って、これまでかなり同質性の高い組織の中で、業務フローも まぁ歴史長いビジネスなんですけど、そんなにやること変わらないという中でやってきているので、コミュニケーションはすごい楽だったんですよね、振り返ると。

 

言葉も揃っているし 文化も揃っているというところから変わって、こんなに噛み合わないことってあるんだという毎日なので、何かそこが上手く会話できるようになったら幅が広がるなっていうのは確かに感じてます。

レイヤーが上がってきたときという話をしたんですけど、それ今 まんまそのカルチャー等が違う人とコミュニケーションするという話と、私的には一緒で、レイヤーが上がってくると、例えばわかりやすくいうとM&Aした会社をマネジメントするみたいなことだってあるかもしれないし、そこまでいかなくても、中途採用して優秀なんだけどうちのカルチャーと違うぞみたいな人を部下としてマネジメントするとか、それは全然あり得ると思います。

そう考えると、この背景や歴史、バックグラウンド、カルチャーが違う人たちとどうコミュニケーション取って分かり合うかというのは、すごく本質的なスキルのひとつだなとは思います。

会社の中で所謂出世をして、主任から課長になり、課長から部長になりとレイヤーをあげていきたいと考えているなら、このような機会はもしかしたら経験を積むチャンスかもしれない。基本的に上位役職になるほど、広い範囲のマネジメントが求めらえるときに、背景や歴史、バックグラウンド、カルチャーが違う人たちとどうコミュニケーション取って分かり合うかのスキルは非常に重要。

事業が苦しい状況のときにどう立ち回るかを見ている人はちゃんと見ている

今ここまで話してきて、とにかく仕事が嫌だが、そう思ったらスキルアップの機会でもあるのかみたいに多少なりとも捉え方が前向きに、いい方向になっていたらという気持ちはあるんですけどいったんここまで話してみてどうですか。

あ…そうですね、印象的だったのは最後の何が役に立つかみたいなところと、波の話のところが捉え方的にあっているので気付きというか、学びになったのと。

 

(自分は自分のキャリアとして)サラリーマンをやりながらレイヤーをあげていくというのは、異動前は思ってたんですよ。で 異動前は思っていて、順調にきていると思っていたんですよ。突然詰んでいる状況に置かれてしまったので、これ、どうやったらレイヤーあげられるんだというのもちょっと、何て言うんですかね…やる気をそいでいる原因なのかなっていう風に思いまして。

ちなみに 今最後に言ってもらった話に対して思ったところを言うと、結構 こういう状況を見ている人はちゃんと見ているということです。

ビジネス的にまぁ明らかに大変で、大きな構造や要素として例えばマネージャー級だとちょっとなかなか対処する要素もないし、本当に大変だったよねみたいなときに、でも、マネージャーの中でもあのAさんはすごい踏ん張っていたよねとか、本質的な動きをしてたよねみたいなのをやっぱり見ている人は見てるという風に思っています。

あの状況下で、ああいう立ち回りができるんだったら、もうマネージャーではなくて、事業部長もやれるかもなみたいな風に見ているというのはすごくあると思います。

で これはあの話が繰り返しになってしまうんですけど、考え方とか違う人も含めて、ちゃんと影響力を発揮して組織としてパフォーマンスが落ちないようにする。基点となっていたのは明らかに彼だったな / 彼女だったなというようなことは、影でやっていたとしても見ている人は見ているというか、気付く人は気づくところがあるので、取り組む価値はあると思っています。

単純に短期的に数字を追いかける力はもちろん必要なんですけど、やっぱりビジネスはそれだけでいかないので、こういう苦境のときにどう動けるかは、上役ほどすごい見てますよね。

これはビジネス経験が多い人ほどそうだし、わかりやすくベンチャーキャピタリストや投資家の人が、

ベンチャーキャピタリスト(Venture Capitalist) 

ベンチャーキャピタルにおける投資担当。高い成長が見込まれる企業をサーチし投資を行い、上場を支援する仕事。上場した際の利益を投資家に還元し、また自分も利益を得る。

出資してくださいというベンチャーの社長さんたちに会っていくときに、順調なときに頑張るのはいいんだけど、順調じゃなくなったときに頑張れそうかどうかというのは、やっぱりすごい見ています。

それはその最初の立ち上げの関わりのときとかももちろん見ているし、投資をするときは本当に直感で人柄がわかっちゃうみたいなところもありますが、「この人、逃げない人かな」「苦しいときにちゃんと本当に大切なものを大切にできる」だろうかは大事な観点で、要は そういうときに他人の攻撃に走らないとか、人格的に他を貶すような品性の悪いことをしないとか、そういう人かどうかみたいなのはよく観察しています。

逆にいうと、今回の状況はそれが試されているとか、鍛えられる場面でもあるかなとそれは思います。

会社が苦しい状況のときに、ちゃんと影響力を発揮して組織としてパフォーマンスが落ちないようにするような動きができている人を、見ている人はちゃんと見ている。

そうだといいなぁ。

 

のと、あと言われてハッとしたのが、だいぶそういう意味では諦めてやる気なくなったのが、何かそこはもうちょいちゃんとするというか、背筋が伸びるような感じで、最後の方は聞いてました。

なんか「頑張るか」「諦めるか」の2択だとやっぱり折れちゃうんですよ。いい意味でのずるさが必要で、しなやかにというか、ここはちょっとずるくでも大人しくしておくタイミングだなみたいなことも、ビジネスでも人生もあるんだと思っています。

スポーツで例えばサッカー選手とかでも、ここぞというときにやたら体力残ってたねみたいな。おまえ途中絶対にサボってたろうみたいな。でもそうやって、試合の流れを読むのが上手な選手っていると思うんですけど、そういうのもある種 こういうシチュエーションがないと磨く機会がないみたいなところもあるので、本当にこれはいい機会なのかもしれないなと思っています。

ビジネスモデルの構造が強いビジネスの上で仕事していると、四半期ごとに数字を達成してねと言われてもビジネスモデルがいいから、達成できちゃうんですよね。

その上でもちゃんと四半期ごとに達成し続けるのは、すごい大変なことなんですけど、でもビジネスモデルの構造があるからできるみたいなところもあって、で、そこがガタガタし始めたりとか、すごい強い競合が出てきたりとか、そもそもちょっと時代遅れでアップデートしなきゃいけないとか、いろんなことでビジネスは変わっていかないといけないところがありますけど、そのときに対応できる力があるか。それを磨いていくというのはすごい大事なところかなとは思います。

そうですね。もともといたところ(異動前にいたところ)は、しっかりしたビジネスモデルとそれを運用するオペレーションがある組織だったなというのが思っている……感じたところですね。

 

というのと、1番その………苦手なところに両極でいきなりきちゃったなというのが、引いてみると思うところなので、なんかその辺を客観視というか俯瞰しながらできると捉え方は変わってくるのかなと最後は聞いてました。

自分の捉え方は変えられるとして、それをチームメンバーや他のチームとどうすり合わせをしていくか

  • カルチャー違う人たちとちゃんと話し合うのはマネージャーとしては、とてもいい経験
    ⇒もし更に上のレイヤーを目指すのであれば、必須ともいえる能力なので、チャンスとして頑張ってみるのもあり
  • 苦しい局面でどう立ち回るかをちゃんと見ている人は見ている
  • 捉え方の話で「頑張るor諦める」だと「折れる」
    ⇒しなやかに対応するのも大事
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